執筆を成功へ導く「ライティングコーチ」の役割と可能性

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向晴香

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10/22 (2021)

「書く」と一言で言えど、誰に何を伝えたいか頭の中を整理し、メッセージを定め、構成をつくり、スケジュールに沿って書き、推敲するといったように複数のステップが存在し、それらをスムーズに進めるのは容易ではありません。

海外では、主に作家が執筆を進めるにあたっての課題解決に伴走する「ライティングコーチ」という仕事があるそうです。この記事ではライティングコーチの概要や具体例についてリサーチした内容をまとめておこうと思います。

ライティングコーチとは何か?

ライティングコーチについて、英語圏の情報でも定義は人によって様々でしたが、概ね以下のような役割は共通していました。

  • 執筆スケジュールの設定

  • 執筆のテーマやフォーカス、届けたい読者の設定

  • 執筆途中でフォーカスから逸れそうなときの軌道修正

  • 内容へのフィードバック

  • 内容を深掘るための内省支援

  • 締め切りに向けた執筆のリズムづくり

  • 執筆を妨げる問題(仕事、プライベート問わず)への対処

執筆を終えるというゴールに向け、原稿の質を高めていくプロセスを、行動面と感情面から支援する役割と言えそうです。

活動しているライティングコーチ

実際にどのようなライティングコーチが活躍しているのか、具体例を見てみましょう。

Bill Birchard

ビジネスやマネジメント領域のライター兼ライティングコーチとして複数の書籍に携わり、Harvard Business Reviewにも『The Science of Strong Business Writing』などライティングにまつわる記事を寄稿しています。

Birchard氏はブックライティングを独自の8ステップに分類した「The Stairway to Earth」を提唱しています。

  1. 正しいメッセージ:書籍で伝えるべきメッセージを見出す

  2. 正しい議論: メッセージを伝えるための議論を組み立てる

  3. 正しい差別化:他の書籍にはない新しさがあるかを確かめる

  4. 正しいコンテンツ:メッセージや議論を支える材料、中身を豊富に揃える 

  5. 正しい構造、整理:メッセージや議論の構成を練る

  6. 正しい技術:文章自体の質を高める

  7. 正しい戦略プラン:書籍を売り込む戦略を立てる

  8. 正しい遂行プラン:書籍を形にするスケジュールを構築する

書籍の執筆という長い道のりを細かなプロセスに分け、着実に完成に向かっていけるよう支援をしていることが伺えます。

Jamie Malanowski

PIXAR世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』のライティングコーチです。ピクサーの元CFOローレンス・レビーが「ジェイミーは本書の隅々にいたるまで親身にチェックしてくれた。その指摘は痛いことも多かったが、とても役に立つものであったことはまちがいない」と紹介していました。

彼はTIMEやEsquireのシニアエディター、元ニューヨーク州知事のアンドリュークオモのスピーチライターを歴任した後、エディトリアルコンサルタント、ライティングコーチ、ゴーストライターとして活動しています。 Linkedinの仕事内容には「書き手が自分のストーリーを語るために必要なものを提供しています。企画書の段階から最終的な編集のお手伝いまで、何でもやります」と書かれています。

企業におけるライティングコーチ

企業がライティングコーチという役職を雇用している例もあります。「Writing Coach」でいくつかの求人サイトを検索してみると「NewYorkTimes」や国際救助委員会に設置された「エアベル・インパクト・ラボ(デザイン思考やリサーチを用いたソリューション創出を担うチーム)」の求人が出てきました。

 NewYorkTimesのライティングコーチは、記者向けのフェロープログラムの講師が主な仕事だ。具体的なレスポンシビリティ(職務)としては一対一のコーチングやライティングセミナーの実施、作品へのレビューが挙げられています。

興味深いのは「エアベル・インパクト・ラボ」のライティングコーチです。「チームメンバーが目標に沿って効果的にアイデアを考え、原稿を執筆、推敲し、質とインパクトのあるものに仕上げるためにコーチングを行う」のが仕事で、具体の職務としては以下が挙げられています。

  • メンバーがコミュニケーションのためのアウトプットのコンセプトを練り、発展させ、仕上げる3つのプロセスごとに1対1のコーチングセッションを行う

  • ハブチームと協議し、選択したトピックについての講義を行う

  • ハブのコミュニケーションプロダクトの開発プロセスをレビューし、その効果を踏まえながら、より効率的で合理的なプロセスを提案する

  • 戦略会議に参加し、トピックを企画するプロセスを観察する。そのための会議を効率的かつ合理的に実施する方法にフィードバックを行う

個人がアウトプットを出すまでのプロセスに伴走するだけでなく、発信するトピックを議論する場の設計、コンテンツを制作する上での体制づくりも支援する役割。Inquireが企業の編集パートナーとして企業の情報発信のお手伝いをする際の伴奏の仕方にも非常に近しいように感じます。

ライティングコーチの重要性

書くことはライターに限った活動ではありません。レポートや資料の作成、社外への情報発信、チャットコミュニケーションなど、ビジネスパーソンは日々様々な「ライティング」を行っています。その質を高め、ゴールへ導くライティングコーチが活躍する場面は、今後国内でも広がっていくかもしれません。

参考記事

https://www.tiffanyhawk.com/blog/what-is-a-writing-coach-and-do-you-need-one https://www.staceycarroll.org/index.php/author-writing-tips/230-what-is-a-writing-coach-and-do-you-need-one https://scribemedia.com/writing-coach/ https://billbirchard.com/ https://www.linkedin.com/in/jamie-malanowski-87376510/

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向晴香

向晴香

Haruka Mukai

シニアコンテンツエディター

編集者・ライター。学生時代にテック系メディアで翻訳ライターとして活動、オンライン英会話サービスでオウンドメディア運営に携わった後、フリーランスを経て、現職。関心領域はメディアと社会、ジェンダーなど。TBSラジオとハロプロと海外コメディーが好きです

編集者・ライター。学生時代にテック系メディアで翻訳ライターとして活動、オンライン英会話サービスでオウンドメディア運営に携わった後、フリーランスを経て、現職。関心領域はメディアと社会、ジェンダーなど。TBSラジオとハロプロと海外コメディーが好きです

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