「リフレクション」を通じて経験から学び、成長する
「振り返り」「内省」「省察」など、日本語でさまざまな表現がされるリフレクション(reflection)。ここではその意味を、人や組織が目的へ近づくために、あるゆる経験から学んで言葉にし、未来の行動をよりよくすることと位置付けたい。
古くはギリシャ哲学者のプラトンやソクラテスの時代から確認されている実践の一つであり、今では人材や組織開発など実務の現場でも多く耳にするようになった。長い歴史のなかで、ジョン・デューイの「経験学習」やドナルド・ショーンの「省察的実践」、同じくドナルド・ショーンとリス・アージリスの「組織学習」など、さまざまな広がりを見せてきた概念でもある。
個人がリフレクションを行ううえでのステップは、大きく分けて下記のようになる。
行為
振り返り
言語化
観察
気づき、発見
試み(行為)
上記の1〜3が日常的に行われている場合、リフレクションが習慣化された状態にあると言えるだろう。リフレクションのサイクルを回し続けることで、実践からいくつもの学びを得ることができ、学びの積み重ねは成長や変容といった結果へとつながっていく。
リフレクションを行う際に勘所の一つとなるのが、出来事や行為だけを振り返るのではなく、その自身の感情や気持ちにまで目を向けることだ。そのためには、事実(出来事や実際の行為)と解釈(自分の認知とそれによって生じた感情や気持ち)を分けて捉えられるかどうかも大切になる。
事実と解釈に焦点を当てる考え方は、認知行動療法の領域ではセルフモニタリングと呼ばれており、過去と今における自分の内面に目を向けつつ、俯瞰的な視点で自分と自分を取り巻く状況を整理するのに役立つとされている
個人がリフレクションを習慣化し、経験学習を続けていくことは、先にも触れた「組織学習」を実現するうえでも欠かせない要素となる。組織学習とは、個人が各々のルーティンを通じて知を獲得し、その知を言語化・共有化したうえで、組織の知として保存していく一連のプロセスを指す。組織が学び続けるためには、そこにいる個人が学び続ける必要があり、個人の学習にはリフレクションが不可欠となる。
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